たいした主張もないまとめ
「海外ゲームブックの文章の良さを伝えたい」という気持ちで書いた本稿だが、ではその良さとは何だったのか、一言で言語化しておきたい。
これは要するに、背景世界が浮き彫りになることの面白さなのである。
ゲームブックというのは、文章が簡素だ。
「叙情的な描写が皆無」とは冒頭で書いた。
プロットにしても、一般小説と比べたら、展開の数や、妙味において劣るだろう。
なんかどれも似たりよったりだし。
それでも魅力があるのは、簡素でドライな文章の点と点とが、集まることで、背後に存在する大きな世界を浮き彫りにするからだ。
そして、この世界に関しては、(特にFFでは)巻数を重ねに重ねただけの魅力があるのである。
と、それっぽいことを書いたが、本稿はあくまで読書記録。
こんな文言を書きたかったんじゃないんだぞ。
あとは各人が、点と点を繋いで、それぞれにとっての魅力を発見してくれることを願う。
付録(1)「ワニ描写の良さ」ランキング
1位は「ミイラの呪い」。多角的にワニを表現しており、愛が感じられた。
2〜4位は僅差。ワニを通じて背景世界が表現されているものを上位とした。
5、6位は、ワニシーンが作品全体の足を引っ張っていると感じた。
ストーリーが進行する場面は面白いのに対して、ややアンバランスであった。
付録(2)「作品としてのおすすめ度」ランキング
1位は言うまでもない。ワニ縛りとは無関係に殿堂入りクラスの作品である。
2〜4位はこれまた僅差。
「さらば愛しきハリウッド」は、ルパンのノベライズとして楽しめる良作。
3、4位も、地味な作品だが良くできている。
ワニシーンを流し気味にしてしまった「灼熱の監獄島」については、ここで少しフォローしておく。
この作品はパラグラフ構造が工夫されており、回り道をすればするほど、出来事の全容が知れるようになっている。
何も知らないままだと残念な死に方をするのは、スティーブ・ジャクソン的でもあり、遊ぶ度に違った印象で楽しめる作品である。
5位は「仮面の破壊者」。いくつか問題点があり、世間的な意味で良作と呼ぶのには少し足りない感じだ。
6位は「ミイラの呪い」。公式翻訳が存在しないため、ここに置かざるを得ない。
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