ファイティング・ファンタジーは浅羽莢子版も買ってね

旧版の方には、強く勧めるだけの理由がある。

FFシリーズ1巻「火吹山の魔法使い」と2巻「バルサスの要塞」の旧版を訳した浅羽莢子女史の文章が、かなりイケてるのである。

今回は超名作、2巻「バルサスの要塞」のルール説明をネタに、彼女の意訳がいかに優れていたかということに、想いを馳せてみる。

…せっかくの盛り上がりに水を差すような話題なのはご容赦頂きたい。


余談だが、彼女は故人である。

ゲームブック黎明期の貢献以外では、一般ファンタジー小説の翻訳分野で有名。

そこからカムバックしてきて、ゲームブックが遺作となった。


さて、「バルサスの要塞」についてだが、本作は2巻にして、FFシリーズの新規軸を打ち出した作品である。

新規軸とは、魔法ルールのこと。

本作以降、FFシリーズは、「基本ルール+作品テーマに合わせた追加ルール」という方程式を確立した。

この王道パターンは、他のゲームブック作品に対する、大きなアドバンテージなのである。


というのも、ゲームブックってのは、ルールを覚えるのがだいぶ、面倒くさいものなのだ。

「バルサス」の場合、本を開くと、プロローグより前に、14ページにも渡るルール説明がある。

しかし、そのうち9ページは、1巻「火吹山の魔法使い」と共通である。
1巻を遊んだプレイヤーであれば、読まなくていいのだ。

差分の5ページを読むだけで、ゲームを開始できる。
このショートカットがFFシリーズの強みである。


その差分というのが、1巻にはなかった魔法のルール。
2巻では、主人公が魔法を使えるのである。

魔法は12種類ある。

どれを冒険に持っていくのかは、事前に決める。

サイコロを振って、出た目の合計数と同じ分だけ、お品書き(魔法一覧)から選んでおく方式である。

魔法というよりやくそうだ。

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