ドラキュラ城の血闘(2010年 ハービー・ブレナン / 創土社)
どんなゲーム?
- コメディー寄りのホラー。敵地に飛び込んでドラキュラ伯爵を抹殺するのが目的
- ゲームブック界の人気作家と人気挿絵師による、人気シリーズの番外編的作品
- ホラーゲー定番の洋館探索。ナンセンスギャグ版・初代バイオハザード
- 舞台はブリティッシュジョークまみれの洋館
推薦理由
- 兎角インパクトが強い。文章も挿絵も強烈な個性がある
- マッピングの入門に適している。見取り図がついていてやりやすい。うろつくだけで楽しい
- クリア難易度が低く、すぐ終われる
- ルールを無視しても面白さが損なわれない
楽しみ方のポイント
- 巻末の見取り図をコピーして臨むこと(ゲームブックはマッピングが醍醐味)
- 探索については割り切って、総当たりすること(純粋な探索パートにおいてはノーヒント)
- クリアするまでチャレンジすること
- 無敵モード(体力を∞とする。戦闘はパス)でプレイするのがおすすめ
- 本編の用語が出てくることがあるが、知らなくても問題ない
次に遊ぶ1冊
- より歯応えのある作品が遊びたいなら:
シャムタンティの丘を越えて(スティーブ・ジャクソン) - 同程度のルール難度でもう一作試すなら:
チョコレート・ナイト(鈴木直人) - 同作者の作品なら:
暗黒城の魔術師 - ちょいレア作品なら:
グーニーズ(ハリー・リンド 島田晴彦訳)
定価で1300円くらい。絶版しているので、中古だと倍くらいはするかも。
先にちょこっと触れたが、創土社という小さな出版社が、ゲームブックの復刊を2015年くらいまで頑張っていたという過去がある。
本作はその復刊作品の一つである。
本書の原版は1989年に二見書房から発売された。
80年代当時は知る人ぞ知る作品だったらしい。
復刻されたことによって、ゲームブックファンに知れ渡った一作だ。
そして何を隠そう、本作は、僕が初めて遊んだゲームブックなのである。
2012-2013年頃だったと思う。
当時は本作のiphoneアプリ版が存在した。
が、そのアプリがメーカーの都合により唐突に配信停止されることになった。
それで、85円の大特価セールとなっていたところを、当時アプリのセール情報を巡回していた僕が、必然的に発見したのである。
僕は、画面サンプルをひと目見て、フーゴ・ハル氏による挿絵のインパクトに、一目惚れ。
だが当時まだ彼女いない歴=年齢だった僕は、一目惚れした後もしばらく、買おうかどうか、うじうじと考えた(実際には、当時金が全く無かったのと、挿絵の胡散臭さ、ゲーム画面の飾り気のなさから醸されるクソゲー臭、これら要素により生じた、純然たる吟味だった。
iphoneアプリの85円ゲームというのは非常に闇鍋であり、ゲームブックの背景を知らない人間からすれば、「そこら辺の素人が作った習作アドベンチャーゲームが、なんか妙に香ばしくなっている」以上の感想は抱きようがなかったのである)。
しかしけっきょく買うことにして、遊んでみると、ブレナンによる文章の方も、挿絵に劣らずぶっ飛んでいた。
ぶっ飛んではいたが、驚いたのは、そのナンセンスなユーモアが、想像を超えて非常に知的であること。
文章そのものがうまく、表面的な下品さに反して、品格が感じられた。
それですっかり、ブレナンのファンになった。
僕は思いがけず、プロの仕事を見せつけられたのだった。
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